映画感覚思考

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映画感想:『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』

 

 

   God vs Man

 

 

   Day vs Night

 

 

 

 

 バットマン vs スーパーマン

  ジャスティスの誕生 』

    原題:Batman v Superman:Dawn of Justice

 

あらすじ

 メトロポリスに突如として現れた災厄。クリプトン星からもたらされた戦いは、常人を巻き込み、絶望をもたらすと同時に、希望の顕現でもあった。人を遥かに超えた"スーパーマン"の登場。その登場を、救世主と讃える人々、危険な力と捉える人々。世界は、"スーパーマン"の是非を問い始めた―。ゴッサムの”ダークナイト”も、また―。

 

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 夢の共演とは、まさにこの事。DCコミックスのヒーローが集結する、『ジャスティス・リーグ』へと続く物語です。

 コミックスのコマ割りをもとにヴィジュアルを構築し、コミックスの世界観を描く事に定評があるザック・スナイダーが監督、バットマンのリブートに成功し、その発想力で観る者を惹きつけるクリストファー・ノーランが製作総指揮を務める本作。構成に賛否ありますが、私は概ね楽しめました。

 本作を観る前に、クリストファー・ノーラン監督作『バットマン ビギンズ』と前作『マン・オブ・スティール』を観ておくこと、本作が今後の”DCエクステンデッド・ユニバース”へと続く作品であることを踏まえて観ることをお勧めします。

  Wが最高!!!!!!

 

オススメ度:☆☆☆☆(おすすめ!)

 

 

                      ↓↓↓以下ネタバレを含みます↓↓↓

 

 

 Wこと、”ワンダーウーマン”最高ですよね!!!あの登場の仕方に、もう気分ガン上がりでした。この記事を書くに当たり、作品を見返したのですが、劇場で観たときと全く同じタイミングで高揚感を味わえました。もうそれだけで、一見の価値はあるかな、と個人的には思います。

 ワンダーウーマンのテーマ曲も最高だと思います。本作の音楽は全体としてとても良いですね。低音を響かせつつ、エレキからクラシックな音まで織り込み、気分が持って行かれる音楽になっていると思います。

 ワンダーウーマンがあの姿で登場していたのは何と152分中10分だけだったのですが、その10分が良くも悪くも、この映画の全てを持って行ってしまっていたと思います。

 

 

 この映画で個人的に高揚したのは、”メタヒューマン”の面々が機密動画として現れた時だったんですよね。完全にそれぞれの紹介動画としての場面でしたが、これから続いていくであろう ”DCエクステンデッド・ユニバース”に想像が膨らみ、とてもワクワクしました。映画内で、予告動画的なものを織り込む構成は、なかなかチャレンジングな事だったと思いますが、私は楽しめました。

 

 もう1つ、スーパーマンの葬儀の場面にグッと来てしまいました。ここも、見返した際に劇場で観たときと同様に、グッと来たんですよね。いや、まさか、致命的に見えても、スーパーマンなんだから、また息を吹き返すでしょ、なんならさっき核爆発から復活しましたよね、、、え?うそ?生き返らないの?え?新聞、、?葬儀、、?バグバイプによる「アメイジング・グレイス」からの弔砲に涙腺どーんでした。丁寧に時間をかけたからこその感情の高まりがあった気がします。

 そして、最後の最後のあの演出、個人的には素晴らしいとさえ思ったのですが、他の映画で既出の演出なのですかね?それでも、続くことが暗示されるという、とてもまとまった最後だったと思っています。

 

 ザック・スナイダークリストファー・ノーランは、ともにシリアス路線でこれまでヒーロー映画を作成しており、その2人がタッグを組んで、今後のシリーズを引っ張っていくわけですから、シリアスなヒーロー映画シリーズに一定の需要があるのだと思います。私も正直このトーンの映画が大好きなので、これからのシリーズには期待しています。シリアスな”雰囲気”だけで、シリスな”要素”がないストーリーだと、それこそ空虚な映画になってしまうと思うので、現代の思想や社会の反映があってほしいなと思います。その点で言うと、本作は興味深い論点盛り混んでると思うのですが、それらを表面的になぞるだけに留まっているなと思いました。

 

 レックス・ルーサー役のジェシー・アイゼンバーグ、良かったですね。とてもはまっていたと思います。あの独特の瞬間的な表情の動かし方、パワーポーズによる表現が流石だなと思いました。丸坊主になるのも、次作への期待が膨らみました。

 

 ”人間対神”が本作のテーマであったと思うんですが、神であるスーパーマンが世界に存在することが分かったことで、神との関わり方を探っていくストーリーだったと思います。結果的に、本作の世界は一神教の世界ではなく、多神教の世界であったという事に帰着するのかなと思います。前作の時点で、神であるクリプトン人は複数いたわけですからその時点で、神は複数いたのですが。

 ワンダーウーマンとスーパーマンドゥームズデイの神々の戦いを眺めるしかできないバットマンという構図、良かったです。あの視点がある事で、神を前にした人の無力感を追体験した気がします。”無力であっても、できる事を行う意味”が盛り込まれていた点も良かったと思います。

 

 

 全体的に、本作はこれ以降のシリーズへの布石となる事柄に高揚感を覚えていたような気がします。1本の映画としてではなく、シリーズ映画としての楽しみ方の文脈で、観れたのが良かったのかなと思います。

 

 私はこの映画を観るまでに、映画で描かれてきたバットマンとスーパーマンの知識のみを持っているだけで、DCコミックスでのそれぞれの姿を知識として持っておらず、ワンダーウーマンに至っては本作に登場することも知らず、完全に初見という状態でした。ちなみに、バットマンティム・バートン監督作とクリストファー・ノーラン監督作のみ、スーパーマンは前作『マン・オブ・スティール』のみ鑑賞済みの状態です。

 やはり、この映画は一定程度の文脈を理解していないと乗り切れない映画なのかなと思います。マーサおばさんやジョナサンおじさんの登場は唐突なので、前作の知識は必要ですし、このシリーズにおいて、バットマンは本作が初登場にもかかわらず、既に当たり前のようにバットマンとして活動している姿が描かれるので、クリストファー・ノーラン監督作『バットマン ビギンズ』を観ることで、バットマンとして活動できている経緯を知識として持っている必要があるなと思います。本作が新規の人は、どの程度理解できたのでしょう、気になります。フラッシュ登場シーンとかはさすがに唐突ですし。楽しかったですけど。

 

 本作の1幕、2幕、3幕は、フラッシュ登場シーン、メタヒューマン動画シーンで区切れていたのかなと思います。両者とも突発的だったという事が特徴ですね。

 

 

 本作は、情報量がとても多い作品だと感じています。レックス・ルーサーは早口だし。なので、展開に追いついていくのがやっとという感じです。それによって、色々な粗自体を気にする暇もなくストーリーが進むので、ある意味思考停止で、綺麗な画面と綺麗なシーンを飲み込んで行けるのだと思います。

 

 ただ、その割には、リアリティを出したい故か、メイン以外の登場人物たちの記号化が弱いため、誰が誰だか分からなくなる事がありました。情報量の多さが裏目に出た部分ですかね。追跡装置が光を発するとかは、めちゃくちゃ記号的なんですけどね。

 

 

 いくつか苦言を呈したい場面があるのですが、まずはブルース・ウェインレックス・ルーサーに招かれた屋敷の場面。毎週土曜22時に放送しているTBSラジオ「ウィークエンド・シャッフル」において宇多丸さんが指摘していたことですが、厨房の横に何で機密扱いであろうファイルにアクセスできるような端末が置いてあって、簡単に忍び込めるんだよと、私も見返していてツッコミを入れてしまいました。

 また、バットマンクリプトナイトを盗もうと護送車をチェイスするシーンがありましたが、あそこは典型的にストーリーが前に進むことのない場面だったと思います。劇場でもチェイスシーンで集中が切れ、今回見返しても、全く同じタイミングで集中が切れました。シーンとしては綺麗だったり、アクロバティックであったりする場面が多く、そこは本作の良いところだと思うのですが、そういった場面が、全体的にストーリーを前進させずに停滞させる働きを持っていたとも思います。そのため、冗長な感じを持ってしまうのかなと思います。

 そして、一番納得がいっていないのが、バットマンがマーサおばさんを救出する際に、”I'm friend of your sun. 息子さんの仲間だ”と口にする場面です。スーパーマンがマーサの名を口にすることで、バットマンが動きを止めて休戦するまでは分かるのですが、人類の脅威としてスーパーマンを殺そうとしていたバットマンが、スーパーマンの”friend”と自称するのはかなり違和感があります。また、スーパーマンの葬儀後、ワンダーウーマンに”希望の光を失った”とブルース・ウェインが口にするのも違和感しか感じませんでした。いや、あなた自身が殺そうとしてましたよね、という。メタヒューマンを集めてチームを結成しようという流れは、もっと違う形で持って行けたのではないでしょうか。

 もう1つ付け加えると、ロイスがクリプトナイトを拾いに水の中へ潜る一連の流れは、自己解決感とご都合主義がにじみ出ていたと思います。画としては綺麗なのですが。

 

 画の綺麗さでは、やはりトップクラスですし、見応えもある映画だと思います。粗さに関しては、今後に期待したいところです。

 

 ここからは余談です。

 DVD特典を観ていて、次作『ワンダーウーマン』の中々のネタバレがあったので、その点ご覧になる際はご注意ください。というか、特典作る方々気を付けてく欲しいです。特に原作物はちょいちょい、特典で次作のネタバレとかありますからね。勘弁してください。

 あと、これは気になったことですが、特典の中で映画について話す本作の重役の方々が全員白人である事に、ハリウッドの一端が垣間見えた気がします。重役で黒人の方をそういえば見た覚えがないかもしれません。うーん。

 

 以上、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』感想でした。ありがとうございました。