映画感覚思考

映画を観て感じたこと、考えたことを書いていきます。

映画感想:『パワーレンジャー』

 

 

 

 

 

    IT'S MORPHIN TIME.

 

 

 

 

 

  『パワーレンジャー

                原題:Power Rangers

 

 

 

 

あらすじ

 新生代の地球、ここで宇宙全体を揺るがす戦いが行われていた。パワーレンジャー、それは星の生命を守るものたち。命を賭した戦いは、邪悪を退けたが、戦いは終わっていなかった。65000年後、アメリカの街となった舞台に再び忍び寄る邪悪。新たなパワーレンジャーとなるのは、それぞれに問題を抱えたティーンエイジャーだったー。

 

 

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 舞台をアメリカに、メインの5人を高校生に据えたアメリカ版戦隊ヒーロー映画。冒頭の新生代のバトルの時点で、やってくれました!、と満足してたんですが、レンジャーとなる人物の配役、キャラ設定がとても良く、見終えた後は戦隊ヒーローモノでありながら、よくやってくれました!fuー!という気持ちでした。

  アメリカでここまでやられて、本家本元はどういう応答をするのか、ウォッチしていきたいですね。

 

 

 

オススメ度:☆☆☆☆(おすすめ!)

 

 

 

    ↓↓↓以下ネタバレを含みます↓↓↓

 

 

  

 戦隊ヒーローモノの最大のポイントはグループヒーローでありそれゆえの群像劇であり、それぞれ個性はあれど、1人1人にほとんど力の差がないことだと思います。だからこそ、その1人1人をどのように配役して、キャラクターを持たせるかが問われてくるのだと思います。

 

  多様性という事が強調されるように、ようやくなってきたこの時代に、この映画パワーレンジャーはとてもよく応えていると思います。

 レッドにアメフトスター素質のマッチョ白人男性を当てたのは首をひねってしまいますが、人に思いやりを持つキャラクター設定は良かったと思います。

 ブルーに自閉症スペクトラムである黒人男性を当てるというのは、日本に置き換えると想像ができないというのが現状である事を考えると、この配役の意義深さが感じられます。本来の視聴対象が子どもであるこの作品ではなおさらではないでしょうか。ほぼほぼ主人公でしたね。自分で自分の事を理解しており、それを伝えられる事の意義、とても良かったと思います。あまり戦隊モノには詳しくないのですが、ブルーに知性とコミカルさ両面を求めるのは珍しいのではないでしょうか。

 ブラックにはアジア系男性を当て、未だアジア系の役者の役どころが少ないハリウッドの現状を考えると良い配役だと思います。中国系資本がハリウッドに流れ込んでいるという現状はあるのでしょうが。キャラクターとして、シングルマザー家庭であり、貧困環境にあるというのも現代を捉えていると思うので良かったと思います。キャストのルディ・リンさん1人だけ他のレンジャーキャストと世代が1つ上なのは謎だったのですが、諸々のインタビューを読む限り、若く見える上に、年齢を度外視してもキャストとしてハマってたということみたいですね。キャラとしては仲間ができたという事以外、1人成長が、あまり見られなかった気がします。母親がこの世からいなくなってしまうかもしれない恐怖をうまく物語に、取り込めていなかったなという印象です。良い背景を持っているのになあ。

 イエローには、非スーパーモデル体型の白人女性を当てており、キャラ設定として、ストレートではない事がほのめかされています。これまた、ストレートではない事をほのめかす描写を日本に置き換えると想像ができない現状なので、意義が感じられます。ただ、風のうわさで異性愛者ではないセクシャルな過去を持つキャラ設定だと聞いていたので、どのように描写されるのかとても気になっていたのですが、本当にほのめかす程度なので、そこは少し残念だったかなと思います。次作に期待ですかね。

 ピンクはスーパーモデル体型の白人女性を当てており、ここに関しては、ピンクという色が女性性として用いられやすい点を踏まえて、何か女性性を撹乱するような要素があっても良かったのではないかと思います。そこは残念でした。パンフレットのインタビューでも、ピンクのスーツは女性らしさを強調して作ったと出ているので、ステレオタイプ的な女性として設定されているようです。キャラクターとしては1人だけ家庭環境が描かれていなかったのは次作への布石なのでしょうか。

 

 5人の配役と設定と印象を書いてきましたが、レッドとピンクにおいては本編では削除されたシーンとしてキスシーンが存在します。これは、試写会で不評をかったということで、削除されたようですが、大正解だったと思います。試写会がうまく機能しましたね。レッドは元アメフトのスター選手、ピンクは元チアリーダーです。元がつかなければ、ステレオタイプ的なカップルですね。制作側がこの2人にこのシーンを用意したという文脈には注意すべきかもしれませんね。

『パワーレンジャー』は「スーパーヒーロー版『スタンド・バイ・ミー』だ」監督単独インタビュー「日本のファンに驚いた」 | ORIVERcinema

 

 

 

 

 映画の全体的な流れを知りたければ、予告編を見れば概観できてしまいます。構成自体は戦隊ヒーローモノおなじみの流れですね。


 ストーリーとしては、それぞれのメンバーが訓練や集まりを通して、自分を開示していき、変身へとつながる、オーソドックスなストーリーではあります。今回の変身は大きな変化というよりも、本来の自分の発揮するという変身だったかなと思います。変身を最大の見せ場にして、ストーリーを紡いだのは、賛否両論あるようですが、私はとても良かったと思います。その分、変身後は戦隊ヒーローの定石通りだったので、気が抜けたのは確かでしたが、クオリティのある音楽と映像で魅せてくれたかなと思います。

 

 

 何で、爆破現場に戻った時に警備とかの人が誰もいないんだとかつっこみどころは多々ありましたが、ベースが戦隊ヒーローなので、そこはだいぶ大目に見ました。それよりも、戦隊ヒーローという題材で多様性を示した点を評価したいと思います。その多様性に関しても、まだまだやりようはあると思いますが。

 

 

 

 

 翻って、現在の日本で放映されている第41代目戦隊ヒーロー、キュウレンジャーに、目を向けてみましょう。現在の戦隊はオーソドックスであった5人戦隊という形から、9人戦隊という構成に挑戦しています。それぞれの戦隊毎に様々な要素を取り込んできた戦隊シリーズですが、現在のキュウレンジャーは人数編成を特色としています。つまり、5人では表現しきれない多様なキャラクターを9人のヒーローとして登場させる事ができるという事です。そこに特色があるのです。

 こんなに、くどく書いているのは、9人という枠で多様なキャラクターを登場させられるのに、キュウレンジャーの描写には何も目新しい多様性が表現されていないと私には見えるからです。一桁代の子どもを対象としているという言い訳は、これからさらに様々な背景を持つ人々と生活をしていくであろう子どもの将来を考えると、ナンセンスだし、及び腰にもほどがあると思います。今回のパワーレンジャーの多様性の1つでも取り組んでいってもらいたいなと思います。

 

 今回のパワーレンジャーを受けて、これから日本で戦隊ヒーローを、どう描いていくのか、注目していますよ、東映さん。

 ただこのパワーレンジャーは、制作費120億円という日本では絶対超えられない壁があるので、VFXなど諸々で勝負するのではなく、役者とストーリーで勝負するしかないのではないかと思います。目指せシン・ゴジラ的な。常にそれだけのものを要求したい気持ちでいっぱいです。

 

 

 

 映画鑑賞時に、劇場で配布されたポストカードです。これを描かれたのは、「アイシールド21」や「ワンパンマン」の作画の村田雄介さんです。この5人の配置、映画を見た後なら違和感しか覚えないと思います。パワーレンジャーのテーマは"友と一緒にスーパーヒーローになる"です。

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 レッドがリーダーであるものの、5人は対等であるはずだと思います。ピンクとイエローは映画よりも、スーツのラインがモデル体型の女性風になっており、ピンクにおいては、劇中でチアリーダーをやっていた事に言及されるものの、実際行っている描写はないのにも関わらず、レッドの背後でチアしている配置になっています。これは、いかがなものでしょうか。また、クールに決めるブラックレンジャーと紹介されてますが、劇中でブラックはクールキャラではないと思うんですが、、

 

 

 

 

 ここまで感想をつらつら、書いてきましたが、私はこの作品を作った意義はあると思うし、全面的にバンザイとは言えないものの、よくやってくれましたと評価したいです。

 

 

 

 

 追記:ゴールダーってダイノゾーンに似てるよね。

 

 

 

 

以上、『パワーレンジャー』感想でした。ありがとうございました。