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映画感覚思考

映画を観て感じたこと、考えたことを書いていきます。

映画感想:『きっと、うまくいく』

   

 

     All is well. All is well.

 

 

 

  『きっと、うまくいく』

              原題:3 Idiots

 

 

あらすじ

 インドの難関、ICE工科大学で出会った、ランチョー、ラージュー、ファルハーンの3人。ランチョーと5年ぶりに大学で会えるかもしれない、という連絡を受けて、なりふりかまわず大学へ向かう2人。その背景には、ランチョーと過ごした、かけがえのない時間があった―。

 

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 ジャケットを見た方、ただのコメディ映画と侮るなかれ。インドのエンタメ映画の体を取りながら、経済成長が進むインドへ疑問を投げかける意欲作。日本にも通ずる、普遍的な問題を明らかにしながら、インドのエンタメを味わえ、感性を揺さぶられるとても良い作品です。

 そして、“希望”を持つ事ができるストーリー、素晴らしいと思います。

 根を詰めて、頑張り過ぎている方、おすすめですよ。

 

オススメ度:☆☆☆☆(おすすめ!)

 

 

   ↓↓↓以下ネタバレを含みます↓↓↓

 

 

 ストーリーに隙がなさ過ぎて、見事と言うほかない作品だと思います。

 ああ、そうだよね、自分が学びたいという思いを持っていけば、成功という結果は付いて来るよね、という事を、誰にでもストンと納得させられる、メッセージ性の高い、とてもよく練られた作品だと思います。“学ぶ”という事に“希望”を持つ事が出来るのではないでしょうか。

 

 また、不安ゆえに怯えすぎて、力を発揮できない人へ向けての、All is well. という言葉、とても響くのではないでしょうか。ファルハーンへのランチョーの言葉が、とてもとても響きました。

 

 強いて言えば、ストーリーに隙がなさすぎる分、“良すぎる“という事が欠点なのかもしれません。インドの職業差別やジェンダーについて垣間見ることができますが、それらへの鋭い言及がないため、若干の放置感があるのも、☆を5つにしなかった理由です。また、コメディとしての障害者の描写、留学生の描写、身体的特徴の描写(屁)は、このいじり方、ジョークを自分もしていいんだ、と捉えかねない描写であり、つくづくコメディは難しいと思いました。あれは、あくまでも劇中の表現であって、現実世界で行って良い言動ではないと思いますよ。

 また、スピーチの場面で、“奇跡”を“ゴーカン”、“入金”を“乳頭”に置き換えた描写。あれは、ヒンディー語の単語の発音がそれぞれとてもよく似ている、という事実を使ったジョークであり、日本語字幕の字面にしてしまうと、可笑しさが伝わりづらく、むしろ“ゴーカン”という単語が急に出て来て、驚いてしまうと思います。自分も初見時にとても引っかかってしまいました。言語的なジョークを別言語で表すのは難しいと思うので、仕方ない部分だとは思います。

 

 少し意見を書きましたが、とは言え、この作品で描かれる普遍的なメッセージは素晴らしく、とても良い作品だと思います。私はこの映画が初めてのインド映画で、素直に他の作品も観たいなぁと思いました。この映画の主演アーミール・カーンは、米『タイム』誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた方で、インドの社会問題に対して果敢に発言をしている方だそうです。

 

Wired「ビル・ゲイツが会いたがった男:インドのトップ俳優アーミル・カーンとは何者か?」

*自称なら良いと思うんですが、人を紹介する際に“男”や“女“を、三人称として使うのはいかがなものかと私は思います。

 

 このインタビューの中で語られるアーミルの、“誰かのために何かをする“ことが目的ではなく、自分の善意で、自分のために何かをする。そうすれば必ず誰かのためになると思う。”という言葉。社会が良い方向に進むためには、この言葉の実践が不可欠なのではないかと、現在の私は思っています。

 

以上、『きっと、うまくいく』感想でした。ありがとうございました。