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映画感覚思考

映画を観て感じたこと、考えたことを書いていきます。

映画評:『ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー』

映画評:ラ行 監督:ギャレス・エドワーズ 音楽:マイケル・ジアッチーノ 編集:ジャベス・オルセン ☆☆☆☆☆

 

 

A long time ago in a galaxy far, far away. . . .

遠い昔、はるかかなたの銀河系で…

 

 

 

 

『ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー』

                    原題:Rogue One: A Star Wars Story

 

 

あらすじ

  “フォース”という力を用い、銀河系のバランスを保っていた“ジェダイ”が滅び、皇帝率いる“帝国”が恐怖によって銀河系を支配し始めてから19年。“帝国”に反抗する“反乱軍“は、破滅的な威力を誇る”帝国“の新兵器の情報を掴んだ。これは、『エピソードⅣ』へと続く、物語である―。

 

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個人的2016年ベスト映画です。 ぼろ泣きでした

“希望はつながる”。素晴らしい物語だと思います。

 

 

☆☆☆☆☆(絶対見て欲しい!!)

 

↓↓以下ネタバレを含みます。↓↓

 

 

 スター・ウォーズシリーズを全て見ている自分だからこそ、物語と世界観にどっぷりはまれたのかもしれません。その可能性は高い気がします。シリーズ初見の人の意見が知りたいところですね。スター・ウォーズを観た事が無いよという人でも構成としては分かりやすいため、入り込みやすいのではないかと思います。が、ぜひ事前にエピソードⅣは見ておいて欲しいところです。

 

 わたしが、個人的2016年ベストと言えるまでどっぷりはまれたのは、SWのストーリーをおおまかに把握している、そこそこのSWファンであった事が大きいのかもしれません。エピソードⅣのオープニングロールが今回の作品の元ネタとなったというぼんやり情報のみを抑えていた自分は、その後の登場人物の行く末をあまり気にせずに世界観に没入できたことが大きかったのかと思います。ただ、話も大詰めになったあたり、帝国の占領下に乗り込むぞというシーンになった時、

あれ?これだけ活躍した人たちが、その後のストーリーでフィーチャーされない理由はないよな?英雄として登場してもおかしくないのに出てこない……

……………。

…!…。

察しました…。

でも…でも、そんな展開やだ…。

という心情でスクリーンを見つめていました。 そして、その予想が実現していく中で、それぞれの想いがつながって、そして、エピソードⅣ 新たな希望につながり、新たな希望のクライマックスにつながっていく。きっと必ず誰かに届く、つながっていく、その文脈に涙が溢れてきました。そこで、表現されていたものは"希望"そのものだったと思います。そして、その希望を信じたいと思ったのでした。  

 

 そして、ここまでストーリーに没入できたのは、ローグワンの映像の美しさがあったことも大きかったと思います。エピソードⅦでも思ったことですが、物質と景色の存在感は凄まじく、そこにあるものとして感じることができ、映像としては何も引っかかる事もなく、むしろ映像に見惚れてしまうほどでした。この事は、同時期公開の『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のCGと見比べれば明らかでしょう・

 

 さらに重要な要素として、今回の主要登場人物が全員新顔であるにも関わらず、惹きつけられた、素晴らしいキャラクターたちの存在は、言うまでもないでしょう。これも、エピソードⅦでの新キャラクター達が素晴らしかった事と共通する部分だと思います。それほど魅力的な、惹きつけられるキャラクター達なのに…………。この先は言うまい。

 

  足掻きようがない、避けられない終わりが迫る、そんな状況に私は思いを揺さぶられるんだと思います。同様のラストを迎える映画の事をふいに思い出してしまいました。*その時も、胸がいっぱいになって、とても揺さぶられた経験をしました。

 

 『ローグ・ワン』に出てくる登場人物には、1人1人にそれぞれの物語があり、それぞれの物語が重なりあった時間を切りとったのが『』ローグ・ワン』という作品になっていると思います。これは以前TVを見て知った、人生の一場面を切り取って映画は出来ているというスライス・オブ・ライフの考え方です。スライス・オブ・ライフはどの映画にも言える事なのだと思いますが、『ローグ・ワン』は、より意識して感じることができました。主要キャラクターの過去を考えると、とても想像が膨らみますが、中でもボーディーが個人的には好きなキャラクターです。クライマックス場面での一言…。あの一言につながる何かがボーディーにはあったのでしょう。もう感涙です。

 スライス・オブ・ライフに関連してもう1つ、キャシアンの、反乱軍の”オーダー”に従う気持ちが分かるのか、と言うあのセリフ、とても良かったと思います。想像が掻き立てられます。深みが増す、味わい深さが出るのではないかと思います。オーダーの理不尽さ、ね。しみじみ。

 

 

 また、『ローグ・ワン』は些細な描写にとても、気が使われている映画だと思います。カットが変わる瞬間の、キャラクターの微妙な表情の変化の積み重ねで、物語が深みを増しているのだと思いました。初回観たときは、感情が揺さぶられ過ぎて、ただただ圧倒されて、希望へとつながっていくストーリーに導かれて、私自身の根幹を揺さぶられ、影響を与えられた映画体験となりました。

 2回目鑑賞時はある程度落ち着いて観る事が出来たのですが、意外とこの映画は、描写自体は比較的淡泊であり、仰々しいものではないという感覚を持ちました。初回は前述のとおり、自分の中から溢れ出してくる想いと『ローグ・ワン』の想いが相乗効果を呼んで、生涯ベスト級な映画体験となったので、自らの意味付けによって、ひとつひとつのシーンがとても濃い記憶として、残っていたのですが、2回目に見たときは、そんなにあっさりと描写されたシーンだったの?と思うほど、さりげない演出で逆に驚きました。逆に言えば、そんなにあっさりとした描写なのにも関わらず、観客に揺さぶりをかけることができる素晴らしい演出、シーンだったのかとも思います。それは、先述した、ひとつひとつのシーンの積み重ねによってもたらされた積み重ねられた感動なのかとも思います。本当に得も言われぬ体験でした、最高でした。

 

 ふいに口をついたようなせりふがとてつもない感動を呼び起こしたり、何気ない一言が後半のシーンでとても印象深く使われたりと、王道の映画の演出でありながら、とても素晴らしくそれらが活かされたことの積み重ねがこの映画初見時の私の感動につながったのではないかと思います。

 

 また、アーソ家の親子を描いた、構図はどれもこれも、見ているこちら側を揺さぶってくるものがありました。ジンの表情が素晴らしい。フェリシティ・ジョーンズさんがとても良いですね

 

 

 

 ただ、少し引っ掛かった部分としては、とても重要なシーンでの"スイッチ"描写ですね。long long time a go ということで、70年代にエピソードⅣが撮影されたことから、アナログなディスプレイ描写があるSWシリーズですから、あらゆる部分でアナログなものがあっても、さほど気にならない設定だと思うのですが、他方でR2-D2に代表されるようなドロイドに機器の制御をさせている描写がある以上、凄まじいハイテク世界である一面も持つわけで、有名なR2-D2のプラグ制御描写があるように、機器制御の電子化が進んでいると思われる世界で、スイッチを何回か押すだけ、レバーを何回か引くだけで、複雑なシステムが簡単に"誰でも"操作できてしまうのはどうなんでしょうと思った次第です。しかも、それが、かなり山場に設定されていたので、やはり気になってしまったのでした。あれかな。宇宙規模で活動しなきゃいけない、やることがいくらでもある人々にとって、小難しいセキュリティを積むよりも、誰でも、それこそクローンが扱えるようにものすごく、機械が簡略化されている方が都合がいいんですかね。あとは、占領下で本部みたいなもんなんだから、敵が入り込む想定なんかしてなかったのかな。安全神話があったんですかね。そのわりには、シールドめっちゃ厳重だったけど。まあ、単純に制作側の分かりやすい演出をするためのご都合主義であるという事なのでしょうけれども。ただ、この分かりやすいスイッチ描写は原点であるエピソードⅣにも、牽引ビームのスイッチがとても分かりやすく描写されていたため、“スイッチ”などの機器が分かりやすい世界観”であるというのが落としどころないのですかね。

 他には何で、最初からイオン魚雷使わないんだという疑問などなどありますが、それはまあ、何か事情が反乱軍側にもあったんでしょう。ええ、いい映画だと思います。

 

 ドロイド描写素晴らしいですね。K2素晴らしい、好きだ。

 

 

 『ローグ・ワン』のラストがそのままエピソードⅣにつながるというのは、きれいな流れだなあと思いました。個人的にはラストカットにレイアだけではなく、R2-D2C-3POも映りこませてくれていたら、さらに最高だったろうにとは思いました。

 ただ、『ローグ・ワン』のラストからそのままつなげたことによって、エピソードⅣの冒頭で、ダース・ベイダーに対して言う苦し紛れの言い訳がとんだポンコツ発言になってしまった事は1つの弊害であるでしょう。何のつながりもなく、エピソードⅣ単体であれば何も違和感が感じられなかったセリフを、違和感があるように思わせることになったのは、後に追加で作られたスピンオフという存在からすると少し手痛いところかもしれませんね。

 

 

 

 余談になりますが、今回、2回目鑑賞時にずっと気になっていた、MX4Dで『ローグ・ワン』を見てきました。MX4Dに関して,初めて体験したのですが、正直『ローグ・ワン』とは相性がそんなに良くないのかなと思いました。映画をアトラクションとして体験できる事自体は、面白いのかと思います。他の作品で試してみないと何とも言えませんが、全編通して、終始動きのある映画でこそ、真価を発揮する仕掛けなのかと思います。適した映画もあるんだろうと思います。『ローグ・ワン』では、主にストーム・トルーパー達がやられる場面での体感が多く、『ローグ・ワン』の主人公サイドからの痛めつけ具合を体感させられた感があったので、何とも言えない気持ちになる体験でした。あれは、体験していて快な気分になるものではないと思うのですが…。あと、爆発等のシーンは映像が熱そうなものを映しているのに、観客が体験するのは、ひんやりした圧縮空気で、そのギャップですんなり映画を自然と楽しめる感覚ではありませんでした。うーん、やはり終始違和感を感じて、現実世界に引き戻されていたという意味では、映画に埋没して体験するという従来の感覚とは違った感覚でした。将来もっと色んな仕掛け、例えば暖かい風などを増加していけば、もっと面白い事になるのではないかと思いました。正直一番すごいと思ったのは、爆発が起きて土砂が降りそそぐ場面での、圧縮空気だったかと思います。実際に土砂が足にかけられたような感覚がありました。あとは、シーンに合わせた席の移動などは、別にそこは体験させなくて良いんじゃないない?と思わせるような動きをさせたりと、どうせだからこのシーンでも動かしてやろう感を感じました。よく言えば、サービス精神。悪く言えばおざなりと言った座席移動が多かったように思いました。恐らくですがMX4Dは今後普及していくであろう、VR映像でこそ、真価を発揮するのではないでしょうか。

 

 

キーラ・ナイトレイ主演、『エンド・オブ・ザ・ワールド』(2012)

 

 

以上が『ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー』評です。ありがとうございました。